社会とアーティスト ~これからのクリエイティブ・エコシステム~
環境問題や自然災害、新型コロナウィルスの感染拡大に国際紛争と、社会が揺れ動くなか、アーティストたちの活動環境も変容し続けています。グローバルなアート市場は拡大の一途を辿るいっぽう、アートは社会福祉や科学、先端技術、さらにはビジネスシーンでも注目されるようになり、その可能性は高まり、多様化しつつあります。そのようななか、アーティストはどのように社会と関係を取り結び、自らのクリエイティブ・エコシステムを築いていけるでしょうか。アーティストたちそれぞれの実践からひも解いていきます。
登壇者:
藤元明(アーティスト)
田中功起(アーティスト)
登壇者プロフィール
藤元明
1975年東京生まれ、東京在住、東京藝術大学デザイン科卒業。1999年コミュニケーションリサーチセンター FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学大学院を修了。同大学先端芸術表現科助手を経て、アーティストとして社会、環境や社会で起こる制御出来ない現象をモチーフに、社会へと問いかける展示やプロジェクトを立案・実施。様々なマテリアルやメディアを組み合わせ作品化している。主なプロジェクトに『ソノ アイダ』、『海のバベル』、『FUTURE MEMORY』、『2021』、『NEW RECYCLE®︎』など。
田中功起
ヴィデオや写真、サイト・スペシフィック・インスタレーション、あるいは介入的なプロジェクトなどの多様な芸術実践のなかで、田中はシンプルな日常的行為のなかに潜む複数のコンテクストを明示しようとする。オブジェクト指向の初期作品では、ありふれた日用品による実験を行い、日常のルーティーンから逃れる可能性を提示する方法を模索していた。のちの作品では、参加者たちに非日常的なタスクを集団的にこなすことを求め、そのありえない状況に直面している人々が無意識に示す振る舞いを記録する。それは、小さな社会や一時的な共同体のなかに生じる、集団の力学を明らかにしようとする試みである。
主な展覧会と映画祭にベルリン国際映画祭(2020年)、ロッテルダム国際映画祭(2019年)、ミュンスター彫刻プロジェクト(2017年)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2017年)など。